ウエンディの ある一日

ウエンディは

その日あった出来事を

思い出しながら

疲労困憊していた

 

霧の晴れたロンドンの

片田舎のバス停に置かれた

鉄さびの付いたベンチに座って

煙草をふかしていた

 

はきだした煙を眺めながら

彼女はふと、

ある思考にたどり着いた

 

煙をはきだすって、工場

工場は何かを作る場所

工場の煙突から煙が出ている

工場が何かを創り出している

工場は生きている

 

あたしは

煙草の煙をはきだしている

だから何かを創り出している

何かを考えている

あたしは生きている

 

煙草をふかしている

あたしという存在は

確かに生きている

 

あたしは生きている

 

「なんだか、嬉しくなった」

 

疲労困憊を紛らすための行為は

自分が生きていることの

証しであることに気づいた

 

彼女は元気を取り戻した

 

帰り道、

あしたもがんばれる

なんとかなるさ、と

生きる気持ちを取り戻した