エリス
エリスよ
君は過去に生き
わたくしは現在に生きる
思い出に生きる者と
現実に生きる者では
座標軸の位置も
時間軸もずれて
重なることはない
おんなは
重なると確信めいて
過去も現在も
生きることが出来る
ことさらに、
あきれかえるほど
別の現実を生きる事が出来る
興ざめするほどの
新しい現実を平気な顔で
過ごしながら
心に冷たい風が
吹いているときだけ
過去の座標軸と時間を
呼び戻そうとする
おとこは
軸がずれてしまったことを
いつまでも後悔しながら
現実のみを生きている
思い出の座標軸も
時間軸も手元にはない
遙かに
新しい四次元軸を
探す旅を続けていく
おとこに
過去は似合わない。