シュールレアリスト

突然の雨

遠くにクラクション

砂漠に河が流れている

強い風が海水を吸い上げ

蒸気機関車が成層圏の辺縁で

メリーゴーランドを弾き飛ばす

夏に降雪の笑顔

真冬に桜が咲いている

涙は額を登り

ナイフとフォークが歌っている

月夜にカエルがバク転して

飛ぶ方向を誤ったと照れている

ここには重力も無重力もない

レンガ仕立ての古びた壁に

倒木で作られたはしごがかかっている

国籍という概念はなく

民族も慣習もない

デジタルの暗号数字が

際限なく変化し続けている

時間座標と複素数座標の交点を

ひたすらに探している

在ることは無と同値関係を露呈し

とてつもなく大きな秒針に

ぶら下がって安堵する

突然の雨

遠くには the hornsの雷鳴