ストップモーション
いつの間にか
時間が止まって
逆戻りしていたりする
十代の頃に聞いていた
ヒット曲に浸りながら
中学の頃に暮らしていた
自分の部屋の匂いや
温度感覚、淡い恋心
小説のワンフレーズ
を誘い出す
高校の頃に暮らしていた
自分の部屋のガラステーブル
大きなオーディオと
大きなスピーカーの揺れる低音
洋楽も邦楽も
世界中の音楽をまき散らかして
本を読んだり勉強したり
同じ楽曲を今聴いても
レコードに残った傷が作り出す
ノイズ音の繰り返しを記憶していて
それがないのがもの足らなかったりする
この曲は第2小節のあの部分に
ノイズ音が入っているんだけどな
などと、自分の記憶力の不思議さに
ストップモーションする