チーグラー・ナッタ触媒

過去の亡霊と対峙していた。

目をつぶって

いないものと考えておくことも

出来ただろう。

そう、

確かに逃走してきたかもしれない。

<今となっては怖いものなど何もない>

たとえ過去の亡霊であろうと

退散させる勇気と度胸が備わった。

逃げずとも自己消化して

自分の栄養にすることさえ

可能にする能力を身につけた。

長年の経験則だけでなく

本来備わっている感性が

それを助けてくれる。

過去の亡霊は、いつのまにか

近寄ってこれなくなった。

時間軸が欠落して

過去が消退したところで

体内由来のオートファジーで

十分な生命維持を確保できる。

つまりは

積み上げた人生訓のおかげで

自分のこころの仕組みを

おもむろに理解し

意識的に使えるようになった。

これは心強い。

それは若い時代、

一万冊の書を理解しようと努め

かたや

語り尽くせぬ理不尽の諸相を

乗り越えてきた証でもある。

若いうちは自分に限界を作らない。

壊れるまで取り組む何かを

持つのがよい。

過去の亡霊と対峙し

それを乗り越えることが出来た時

希望に満ちた最期の数十年を

運良く乗り越えて

寿命を待つことが出来ると、

そんな思いに至っている。