放課後
中学に入学して
軟式テニス部に入った
ずっと少年野球で
野球のことしか
考えていなかった小学生だったのに
五分刈りにするのがいやだった
先輩後輩の厳格さがいやだった
そんな我慢をしてまで
野球をしたいとも思わなかった
下手くそだったし・・・
髪の毛を切らずにすみ
上下関係がゆるい
ただそれだけの理由で
選んだ部活だった
校舎の建て替えか何かで
コートは半分しかなく
十分な練習をする場所も
指導者もなかった
大会に出かけても
一回戦負けは必然
さっさと負けて
ミスドに行って
ドーナツを買うことだけ
考えていた
そのうち生徒会活動が忙しくなって
コートへ顔を出さなくなった
生徒会室の窓を開けて
テニスボールの行き交う音を聞きながら
生徒会新聞の締め切りに追われて
ひたすら原稿を書いていた
テニスボールの行き交う音を
聞いているのが好きだった
しかしそれは
自分が熱中していることからは
外の世界の日常に変わっていた
放課後、
テニスボールの行き交う音
生徒会室
原稿書き
中学生だった僕のありふれた毎日