犬が西向きゃ尾は東

 

このトートロジィカルな表現法

命題の真を問うには当たり前すぎて

アイロニカルで愉快だ

 

凡人同士なら嘲笑に終わるが

閉じた言語世界で暮らす

ホームレスな頭脳の明晰さが

芽吹いているはず

 

本を読んでいるときに

この種の循環論法に

突然、出くわすと

洗脳されたように

その渦に巻かれて

コンフューズしてしまう

 

「わたくしは神様です

あなたは誰ですか？」

 

「私は神様です

あなたこそ誰ですか？」

 

「何を今更、

わたくしは神様です」

 

文脈の浪費に見えるが

寄り道の自由度が

相当高いのかもしれない

 

ただ、ゴール地点は

遠いところに

あるわけではなく

見て見ぬ振りをする

 

本質は局面に

存在するわけではなく

文脈の清流に

紛れ込んでいる