パンとサーカス

米をおくれ

物価を下げておくれ

生活を楽にしておくれ

テレビの報道も

客観的なものでは決してなく

新聞だってそう、

世の中は権力とお金に

左右されて

成り立っていることに

ようやく気づくことが

できる時代に変わりつつある

政治に無関心ではいられない

状況に我々は巻き込まれている

小麦を無償で配給して

どこかにコロッセウムでも作って

楽しませておくれ

政治に無関心でいられる世界を

作っておくれ

パンもサーカスもないこの時代

正確な情報に基づく

SNSで全て悪行を明らかにして

まともな世の中が再生されてゆく

過渡期に我々は生きている

醜い利権に酔いどれた悪魔たちが

立ち去って

仏頂面の利己主義者が姿を消し

微笑んだ天使が

あちらにもこちらにも

安寧をもたらしてくれる世界を

待ち侘びる

現実にはそんな世界はこれまでに

一度も具現化したことはないだろう

これからもないだろう

人々は天国を探し極楽浄土を夢見る

その存在を信じずには

生きていられないほど

この世の中は古今東西、

生産と破壊を繰り返して

なんとか生きながらえてきた

それでも、いつか、いつの日か

心の豊かな時代が訪れるように

わたくしたちは手を合わせて

祈っている

いつまでも、いつまでも。

(注)

「パンとサーカス」は、

詩人ユウェナリスが古代ローマ社会の世相を批判して

詩篇中で使用した表現。

権力者から無償で与えられる

「パン(=食糧)」と「サーカス(=娯楽)」によって

ローマ市民が満足して

政治的無関心になっていることを揶揄した。

現代社会においても、

大衆が安価な食料や娯楽によって

政治や社会問題への関心を失い、

権力者の支配を許容する状況を批判する際に用いられる。

これは、為政者が民衆の不満をそらすために用いる

愚民政策の象徴とされている。

物質主義の例えとしてしばしば用いられる名言警句である。