ブルーな哀愁の香り

私も、あなたが好きです

そう、言われたとき

 

私には、他に好きな人がいます

そう、言われたとき

 

どちらがしあわせなのか・・・

わからない

 

たとえば愛ならば、

束縛し合い

望んでいたはずのものに

いつの間にか

息苦しくなるかもしれない

相手の気持ちを

受け止めるということは

それ以外の何がしかを

諦めるということ

 

あなたがいれば

他に何もいらない、なんて

歌謡曲の世界にしか出てこない

美辞麗句なんだろうか

おんなは余りにも現実的な生き物

けなげさを失わない白い約束は

現実的な生活感の中で失われていく

 

たとえば失恋ならば、

ひとかけらの傷心が

流れ込むかもしれないけれど

そこから

別の誰かと

別の世界が広がっていく

自由を与えてくれることに

なるやしれない

 

いつかどこかで再会したら

あなたは、

見る眼がなかったんだねって

言えるくらい

自分磨きを始める

いつまでも、過ぎ去ったことを

引きずってはいるだろうけど

 

どちらも一瞬のきらめきと暗闇

ツライ思いに捕囚される

愉快で不愉快な言葉に想えてくる

 

言葉で確かめないといられないって

本当は、しあわせじゃないんだろう

 

誰かに束縛されていたいのに

誰にも束縛されたくない

矛盾をかかえて

ブルーな哀愁の香りに酔いしれる

 

そんな愚か者は

心の内の真ん中で

ひとり生きていくほかはない

 

もし、この

ブルーな哀愁の香りが何なのか

教えてくれる誰かがいれば

きっと

心の真ん中で

ひとりっきりで

生きていかなくても

すむだろう

 

言葉で気持ちを確かめる必要が

なくなるんだろう

 

ブルーな哀愁の香りは

忘却の彼方に去り行き、

春に歓喜し

夏を涼しく過ごし

秋を冷静に眺め

冬を暖かく過ごせるのだろう