ブルー・ドラゴン
青い眼のドラゴンが
湖畔のさざ波から顔を出した
不安のオーラを吐き出しながら
彼は、こう、囁いている
不可思議なウイルスが
人間を食べ尽くそうとしている
なのに、お前ら人間は
何処まで愚行を続けるのだ
「利権」?それは我々の世界では
「魔性の血」と呼ばれているものだ
取りつかれたものは
祓うことができない
お金は人を幸せにするだろう
お金は人を不幸せにもするだろう
両方が理解出来ない人間は、
それを手にしてはいけない
魔性の血に焼き尽くされた仲間を
数え切れないくらい見てきたのだ
人間に必要なものは
自分を理解しようと寄り添う
他人の存在だ
つまり、「いのち」だけなのだ
我々の世界では
「清廉な魂」と呼ばれるものだ
「魔性の血」の餌食になるな
「清廉な魂」を守るのじゃ
お互いが
大木に寄りかかるように
生きていくのじゃ
それが人の人たる所以
そう言い残して
青い眼をしたドラゴンは
湖に姿を沈めた