ペトリコールの夕暮れ

どうやら雨が降り始めたようだ

地面から立ち昇ってくる

ペトリコールの香りが

親密な懐かしさを感じさせる

香りの記憶はある種のサウダージ

そう、雨の香りの香水を

好んでつける女がいた

私って、雨女

だから晴れの日でも

雨が恋しくなるの

ペトリコールを思い出す

香水をつけていると

落ち着くの

俺は偶然出会う

雨降りどきのペトリコールがいい

じゃあ、さよならね

そうだね

それ以来

俺は傘をささなくなった