七夕前夜

数年前

家の軒先に

小さな植物を

母が植えた。

それは

小さな幹に

小さな枝をつけて

背の高さほどに

なっていた。

七月六日、朝

小さな枝に

蝉の抜け殻

そして少し上の

幹の部分に

クマゼミが

凜々しく

とまっていた。

家の軒先の

土の中で数年間

じっと成長して

ようやく成虫に

なったのだ。

不思議な気分と

嬉しい気持ちに

満たされた。

夜、家に戻ると

クマゼミの姿はなかった。

きっと、七月七日のために

織り姫様を迎えに

向かったのだろう

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