三日月のブーメラン
目の前に
お月さんが現れた
直径2メートルくらいの
キラキラした平面体に
姿を変えて
圧倒されるような
オーラを放ち
何かを語りかけようと
している
暖かい温度感覚に
包み込まれているうちに
お月さんのエネルギーを
全部吸い取ってしまった
お月さんは
銀色の三日月の形に
冷めてしまったので
ブーメランのように
夜空へ投げ返した
家に帰って
鏡を見てみると
自分の姿は
ウサギに変わっていた
ところが
周りの人達には
相変わらずの
人間に見えるらしい
緊急帝王切開術に入った最後の日
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いつだったか・・・
何度もあったけれど
他の小児科医のヘルプを呼べない状態でも
助産師さんと二人でがんばった
そのあとは、ベビー室で看護師さんに
サポートしてもらいながら
朝まで2つの小さな命と向き合った
可愛い可愛い双子ちゃん
小児科医は
赤ちゃんがお母さんの子宮から出た瞬間から
大切な大切な小さな命と向き合っている
それは今後どんなにAIが進歩しても
変わらないと思う
「がんばれ、ばんばれ、ほら息をするんだよ」
やっと泣いて、状態が安定したら
手術台の上にいるお母さんに
見せてあげる
「ほら、赤ちゃん、自分の力で呼吸をして
お母さんにいいとこ見せてあげなくちゃ」
いつも赤ちゃんにそう呼びかけて蘇生していた
産科の先生もお母さんをケアして
同じ事と考えていると感じていた
赤ちゃんもお母さんも
ご家族の方々も
助産師さんも産科医も
麻酔科医も放射線技師さんも
臨床検査技師さんも薬剤師さんも
助手さんも看護師さんも小児科医も
みんなでがんばった
たくさんの人達のチーム医療で
目の前の命を守るためだけに
繰り返されていく毎日
とっても大切なことだ
誰も彼も眠いなって、言っていられないんだよ
目の前の命を守るために全力投球することしか
考えていないんだよ