三葉虫

三葉虫は

何を考えていたんだろう

海の底で這い回ったり

ときにはすこし

浮遊したりしながら

餌を探す毎日

与えられた生命を

大切にするほどに

体表は硬くなり

それでも静かに

暮らしていたんだろう

サーカディアンリズムを

守りながら

単調な日々を

暮らしていたに違いない

海底の泥の中で

かくれんぼしたり

追っかけごっこしたり

彼らなりに

忙しかったのかもしれない

ときには

アンモナイトとすれ違って

奇妙な生き物もいるものだと

笑っていたかもしれない

絶滅するなんて

思ってもいなかっただろう

化石でしか見られないけれど

出会えてよかったよ