半端な果実

駆け抜けようとして

全力疾走すれば

なんの価値もない鉄の味に

味蕾が悩ましげに首を傾げた

腐りかけの柿であってさえも

いただいた一宿一飯の恩を

武士は忘れたりはしない

飽食の時代に武士道精神は

忘れ去られ

昔は磨いて

食べることができる部分を

探していた半端な果実は

道端に蹴り散らかされて

見向きもされずに

朽ち果ててゆく

もちろん

半端な果実を拾い上げる人は

ほとんどいない

「信頼しなければ

裏切られることもない」

世の中の全ての言葉は

二項対立の上に

成り立っているのかも

しれない

ワタクシの住む世界では

言葉が解き放たれていて

理性的な分析と

感性的な受け止めが

今なお、共存している