卒業式の日の おもいで
心晴れやかに
大声で校歌を歌えた
小学生、中学生のとき
気持ちが、ピカピカしていた
高校の卒業式は
校歌自体を知らなくて
はじめて聞いたような顔をして
周りを見渡していた
これで何かに区切りがつくんだろうか
なんて、斜めに構えていた
世の中のすべてと
自分の中のすべてがわからなくなっていた
卒業式は真っ暗だった
時を経て
大学の卒業式は、感慨深い想い出
気持ちはピカピカで
見失っていた自分が戻ってきていた
謝恩会から自分の部屋に戻ったとき
静まりかえった、ひとりきりが心地よくて
天井を眺めていた
なぜだか、無数の星が輝いた
あのとき
確か
部屋の明かりをおとして
お気に入りの楽曲を聴きていた
友達から譲り受けた熱帯魚が泳ぐ
おおきな水槽の明かりが
天井に流星を作ってくれた
部屋の中は
小さな宇宙のようで
自分がふわりと浮かんでいるような
気分だった
不思議な感覚
僕は宇宙人だった
何万光年の
空のかなたまで
ひとっ飛びできた
振り返ると
なんとなく厳かで
なんとなく切なくて
なんとなく懐かしくて
なんとなく照れくさくて、
それが卒業式の日の
おもいでのようだ