向きを変えて視る

砂浜から見る波は

大きなうねりをあげて

位置エネルギーが

マックスになったあと

山頂から白い粟粒の

無数の小さなハングライダ―のように

飛び降りて沈み込み

運動エネルギーに変わっていく

いつの間にか

砂の城を壊し

足元までたどり着く

その繰り返しを

ぼんやりと眺めている

それに飽きて

空から波を眺めていると

不規則な白い線が

幾重にも海の中から現れて

砂浜に辿り着き

真っ白な蜘蛛の巣を張るように

分散して海に帰ってゆく

その繰り返しを

ぼんやりと見下ろしている

一つの出来事は

視点を90度変えるだけで

全く違う出来事に変わる

単調な日常ですら

少し違った角度から眺めてみれば

単調ではなくなるだろう

多角的に鳥瞰することができれば

喜怒哀楽の意味合いは

瞬間瞬間に変幻自在し

愉快な視覚が現れるに違いない