夢の途中で

夢の中に出てきた

過去の自分と対峙した

十代の僕を強く抱きしめた

笑顔のない僕を

よく乗り越えたなって

褒めてあげたんだ

二十代の僕が現れた

見えない未来を噛みしめて

歯ぎしりする僕の歯は

ガタガタになっていたが

ひとつ夢をつかんだ

三十代の僕は白衣姿のままで

自分のことなど省みず、

外来と病棟と研究室の中で

悪戦苦闘していた

自分のすべてを

目の前の患者さんのために

向けていた

四十代の僕は同じように頑張ったが

体力に陰りが見え始めた

三十代と同じようにはいかない

無理が利かないことは分かっていたが

とことん突っ走った

高血圧・憩室炎・頸椎ヘルニア

尿路結石・めまい・一過性難聴

検査・治療薬・リハビリで

毎日を乗り越えた

五十代の僕は

町医者の道を選んでいた

24時間戦えなくなった

それでも限られた時間の中で

何とか患者さんのためにと、

考え方を変えずに

真摯に行動してきた

ネガティヴ思考の振り返りでは

決してなくて

むしろ年齢と体力に応じて

自分の最大限を提供するために

ポジティブ思考

自分の考え方を微調節して

自分の環境を微調節して

まだ大きなことをやろうとしている

引き続き頑張れよって

言ってやったんだ。