宝箱

あなたの好きな色のリップ

しまっておいた小さな箱

 

「たからばこ」って

名付けたの

 

きのう

あなたの足音が

遠ざかって

見えなくなった

 

もう一度だけ

あのリップをつけて

あなたを

探そうとした

 

なのに宝箱の中、

何にも入っていないなんて

 

きっと

たぬきのしわざにちがいない

 

〈た〉を〈ぬき〉取ったのね

 

だから

「からばこ」・・・

 

笑ってしまうくらい

いまのわたし、だね