実在しない階段

実在しない階段を

登って行く

 

見えないのではなくて

実在しない階段

 

実在しない階段を

登ろうとするのは

 

パントマイムみたいに、

ないものを

あるかのように魅せて

登っている有様が際立ってくる

 

実在しない階段を登るのには

疲弊がつきまとって

あてどなく

彷徨う覚悟が必要になる

 

階段のありかを示す地図は

所在を示さず

目にする好機も訪れようとしない

 

パントマイムを

見せ与えるばかりで

いったい

何が得られただろう

 

 

与えることと与えられることの

バランスがあまりに乖離してしまえば

星空に浮かぶ天秤座は

見当たらなくなるだろう

 

それでも

実在しない階段を

登り続けていくのだろうか

 

それとも

まだ、実在すると信じて良いのだろうか

 

その先にあるという

理想郷を求めて

実在しない階段を上り続けていこう

 

そう、自分に言い聞かせて

自分自身を慰める

 

パントマイマーは

理想郷を探し続けている

 

 

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