寂寥の冷

刺すような冷たさを

手のひらが握りしめた

 

冷たさの痛み

それは凍えるような

深雪の季節に

似つかわしい感覚

 

暖炉に手をかざすとき

刺すようなあの冷たさが

手のひらの奥の方から

蘇ってくる

 

少し前の出来事

それを回顧して

遠い記憶へと

変わってゆく瞬間

 

痛みは消え

温もりに支えられた

あの時を

振り返りながら

微笑んでいる

 

痛みは愛なのだろうか

 

そんなことを考えながら

焦点の合わない一点を

見つめている

 

暖炉の炎が

指先を包み込むように

揺れている