巣籠もり経験

小さな空間の中で

じっとしていること

それはいささか退屈で

寂しいことかもしれない

そこから

出られないとしたら

収容された放牧牛が

暴れた末に諦めて

おとなしく無感情に

なってしまうのに似るだろうか

人間なら知恵を絞る

ことさら多様なデバイスが

存在するこのご時世

案外、気を紛らすことが

小さな空間の片隅の

ベッドの上だけですら

出来るだろう

だけども

そこから解放されると

思いのほか動いたり話したり

笑顔を思い出したりするもの

笑顔はやはり人と人との繋がりを

確認して嬉しくなるときの自己表現

どんなに強がっても

笑顔に勝るものはない

巣籠もりでは得られないもの

それは笑顔なんだろう

ひとりぼっちから

ひとりではないことに

無意識的に直接気付くこと

それが笑顔かもしれない

巣籠もりの経験を終えると

自然な笑顔が顔を出す

自分は関わり合う周りの人によって

生かされていることを実感する