差しのべる手

霧深い景色を

車窓越しに眺めながら

あなたの肩のぬくもりを

思い出そうとしています

 

ぬくもりを感じていた

あの時へ

記憶が走っていきます

 

ぬくもりそのものが

どんなだったか

 

考え始めると

記憶は走るのを

止めてしまいました

 

右肩に当たる日差しが

こうだっただろうと

呟いているようです

 

でも

ぬくもりとは、

温度ではなく

 

あおられて

消えそうなろうそくに

差しのべる

手のようなものの

気がしました