幻想の窓辺

淡い灰色の感情が

わたくしを窓辺へと運んだ

窓辺に置かれた

ロッキングチェアにすわり

しばらく感情を揺さぶった

窓辺からガラス越しに

見えるのは

木々を被う深い緑

聞こえるのは

ナイチンゲールの鳴き声

立ち上がって窓を開け

もう一度座り直した

僅かに入り込んだ

夜半の風が胸に刺さって

不必要な感傷が吹き出した

わたくしは薄汚された心の森に

身を置いていたのかもしれない

深呼吸

森林浴に気をよくして

いつの間にか

ロッキングチェアの揺らぎを止め

部屋の明かりを消していた

月の安らぎのみとなる

陰影礼賛

日常と自然とが一体化し

芸術的霊性が蘇ってくる

本来の自分らしさとは

何であるのか

それは言語化できない霊性の

清らかなる森の中に宿されている

とりとめもない語りかもしれない