当意即妙

狭い駐車場に車を止めている

クリニックから近いので仕方なく

 

もう少しましな場所を捜したいが

今のところ、

捜すこと自体、疲れる行為なので

そのままにしてある

 

右隣に車が止まっていると

右折していつものルートで

車を動かすことが出来ない

 

仕方なく左にハンドルを切る

 

細い路地を5m進むと

一方通行の道があり

電信柱に接触しないよう

すぐに右折して、遠回りする

 

しかし斜め前方に

車一台分通れそうな細い道がある

 

いつもなら無視するところだが

わざわざ遠回りするのが

バカバカしくて

面倒くさい気分だった

 

直進してみた

 

遠回りルートからリターンしてくる

道の途中に出た

 

これはしめしめと思った

 

そのまま左折して

馬代通りの交差点

 

いつもなら

交差点を左折して

丸太町通に出るところだが

この際、

まっすぐ進んで

妙心寺の前を左折して

丸太町通に出ようと考えた

 

ところが、間の悪いことに

工事中で左折できない

 

やむを得ず、直進する

 

自転車で高校時代に

2,3度、通ったきりで

40年も経過しているので

その先がどうなっているのか

記憶の糸は途切れていた

 

何処かで一方通行になっていたり

行き止まりになっていやしないかと

心細かったが

まっすぐまっすぐ、左折して左折して

ついに丸太町通にでた

 

そこは

双ヶ丘の高架のすぐそばだったので

右折して西へ向かうルートに接続した

 

二つの小さな冒険ですら

心細く、不安に思えたが

そんな久しぶりの感覚を取り戻して

妙な気分になった

 

目的地点が定まっているから

迷っていても最後には辻褄が合う

 

目的地点のイメージがなければ

心細さが、

単純で、妙な気分に変わることは

なかっただろう