心のこもった食事

食べる人の顔を

思い浮かべ

買い物をする

 

食べる人の顔を

思い浮かべ

包丁を持つ

 

食べる人の顔を

思い浮かべ

料理をする

 

食べる人の顔を

思い浮かべ

うつわに盛る

 

作った人の

真心が伝わると

食べる人は

自然と微笑む

 

食事から

いただく感謝の気持ち

それがあるから

いただきますと始まり

ごちそうさまでしたと終わる

 

 

星がいくつ付いていても

おいしいと分かっていても

食べる人の顔も思い浮かべず

自分の腕を押しつけてくるような

料理は一流ではない

 

一流の店に行くと

そこへ行く自分も一流だと

勘違いしているだけだ

あこがれなど、ない

 

料理はコミュニケーションであって

看板への信頼感ではない

 

北大路魯山人なら

星の数など数えることなく

器の真心の伝わる料理しか

信用しないだろう

おいしいだけで満足しないのが

魯山人の魯山人たるところかもしれない

 

自分の眼と味覚で

選び抜いた粗食を

たいせつにするだろう

 

作った人の気持ちが

伝わってくるとき

それを受け止めることが

できるには

味覚だけではなく

心が必要だ

 

おいしいだけでなく

作ってくれて

うれしい

ありがたい

 

その人のために

作った人のひたむきさが

 

その人に作ってもらった料理を

食べた満足感を生む

 

おにぎりひとつで

こころからありがたいと

思えるのが

究極の

食事を介した

コミュニケーション

ではなかろうか