思い出のペイブメント
思い出の
ペイブメント
散策していた
馬代通りから
西大路通までつづく
御旅の通り
よく校舎を抜け出して
意味もなく
友達とぶらぶらしていたっけ
あの魚屋の角を曲がると
小さな公園があったっけ
郵便局と
文房具屋は
昔のまま
残っていて
よく行った
本屋や
パン屋は
消えてしまった
40年もたったからねえ
化粧品店のあった場所を
通ると思い出す
あの歌謡曲
当時は、
化粧品のコマーシャルに
はやりの歌を乗せた
CMが多かったから
キャンペーン・ソングを
思い出すと
とっても、気分がいい
懐かしいなあ
大学や仕事や研究や、で
引っ越しも10回以上しただろうか
偶然にも
再び通ることになるとは
思いもよらなかった
ようやく
戻ってこられたんだ
ペイブメント
思い出の道
ういういしかった
15,6才の自分
あの頃は夢が一杯
押しつぶされて
しまいそうなくらいに
実現できるかわからない
不安と希望に燃えていたっけ
ときには、やる気をなくして
ゲーセン通いをしたり
今はどうだろう
夢のひとつはかなったよ
なんとかね
でも、まだ
かなえられていない夢もあるし
高校時代にはなかった
大人としての
新しい夢も出来て
いい年していながら
高校時代と同じような
初々しさはないけれど
やっぱり夢を叶えるために
燃えているよ
かなえたい夢の前では
いつも新人でいられるんだ
新人で、いて、いいんだ
いつまでも
夢は追い続けていて
かなえたいと思っている今、
だから
いいことばかりじゃないけれど
ひょっとすると、
幸せに生きられているの
かもしれないなあ
ありがたいことだ、まったく
そんなことを考えながら
思い出のペイブメントを
歩いている
何だか
いろんな事があった人生
感慨深く受け止めることが
出来るようだ
この年になって
ようやく
途切れていた時間が
つながった気がするよ
何だか
素直な初々しさを
よみがえらせてくれるよう
この
思い出の
ペイブメントの
おかげで
高校生のときの自分に
語りかけながら
歩いている
今の自分がいる
高校生のときの自分に
聞いてみたいんだ
今の自分を、
君は
誇りに思ってくれるかい?
身体はさび付いて
ガタガタだけど
心は輝きを失っていないかい?
って。
思い出の
ペイブメントの片隅で
目を閉じると
アルペジオのように
風が吹き抜けていった