思い出の野球少年
小学生になったばかりの
男の子が
毎日一生懸命、
壁に向かって野球ボールを
たたきつけていた。
速い正確な球を
繰り返し投げていた。
「君はきっと上手くなるよ。
続けるんやで。」
そう言って、いつも感心していた。
その野球少年が
高校生になって
診察を受けに来てくれた。
インフルエンザで
しんどそうだったけれど、
いまも高校野球を頑張っていると。
とても嬉しかった。
背丈や体格はすっかり大人だが、
にっこりする時の笑顔は、
あの時のままだった。
それがうれしかった。
真っ直ぐに成長した姿を
見ることが出来てよかった。
今後一区切り付けて、
野球から離れて生きるとしても、
きっと、
あの笑顔さえ忘れなければ、
立派にやっていけるよと、
思いながら手を振った。
うれしかった。