感触
左手の
人差し指の
指先の感覚。
感覚だけを頼りにして
見えない細い血管を
探り当てる。
そこに針を刺す。
血液が返ってくる。
触感だけで採血をしている。
研修医の頃からずっとそう。
上手いとは
なかなか言ってもらえない。
他の小児科医が
ライトを当てて
何度も刺して
やっと採血が終わるシーンを見て
ようやく、
左手の
人差し指の
指先の感覚が
褒められることになる。
今も変わらずそれで済む。
ライトなんて使ったこともない。
いつまで
こんなふうに出来るのだろうと
時折考えることもある。