投函

ポストには夢が潜んでいる

入っているか入っていないか

それは少年の頃に

川に仕掛けたもんどりに

魚が入っているかいないか

あの場面を

思い出すからかも知れない

開けた時、

空っぽだからといって

ガッカリすることはない

開けた時、

何か入っていると

なんとなく嬉しい

ポストは社会と個人を繋ぐ窓

空っぽならホッとする

入っていても

ほとんどは封筒を破らずに

ゴミ箱に投函する

自分にとって意味のある封筒だけが

開封される

ポストは社会に対する

個のフィルターかも知れない

開封するしないに

バイアスをかけるのは個性

投函された封筒は

開封されるか

再び投函されるか

仕掛けにかかった魚が

小さければ川に戻してやり

大きな魚や珍しい魚なら

持ち帰って水槽で飼育する

川で釣りをしていた少年時代のように

ポストを開けることが楽しい