実況中継〜ある散在の中で

アーモンドをかじると

思い出すシーンがある。

本当に汗だくになって

卓球したあと

アーモンドを食べながら

瓶ジュースを飲んでいた。

あの時のこと

シャツの汗を絞って

塩味の効いたアーモンド

甘いジュース

思い起こせば

身体が自然と欲する

足りないものを補っていた。

今はどうだろう

糖質制限の食事の合間に

補助食品として20粒ほど

食べることにしていた

塩っ気のない素焼きの

アーモンドだけど

やっぱり好きなようだ。

ふとした瞬間に

思い出が顔を出す

ひとり書斎にこもって

十代後半に読んでいた書物

中沢新一とか浅田彰とか

吉本隆明とか柄谷行人とか

レヴィ・ストロースとか

カフカとかボルヘスとか

オクタビオ・パスとか

タゴールとか

川端に芥川、

宮沢に萩原、

最近復刻した

西田太一郎氏の漢文の語法とか、

全くキリのない話。

もう一度読み返しながら

コロナ・エキストラの

瓶ビールを片手に

Rick Astleyの曲をかけて

アーモンドを口にする。

身体が自然と欲する

足りないものを補うことは

出来ないでいるにしても、

時の過ぎゆくままに

まさに時は

その歩みを止めようとしない。

畢竟、

時間というものは

存在しているのだろうか、

などと思いつつ

読みたい本、

聴きたい音楽が

散在している。

まだ、1:45AMか。