日常に用意された矛盾

お前しかいない

そんな風に想い浮かべてみても

誰もいない日常が歩いている

 

ガランとした狭い部屋で

無為に横たわり

時間が来ると

現実が起き上がる

 

軽いめまいと

頭痛で

寄り掛かるのは

いつも

白い壁

 

矛盾の用意された日常が

繰り返される

 

壁に残されるのは

自分の手のひらの痕跡

 

白い壁に染みついた汚れは

ひとりで

生きていることの

隠しきれない証

 

白い壁の汚れは

このまま不可解な光沢へと

移ろいゆくのだろうか

 

倒れたまま

さびれた銅像に変わっていく

幻想に微笑む

 

ナザレにあるという

汚れた手をもつ銅像のように