東京アーモンド

アーモンドを半分

かじる時の乾いた音色。

聞くたびに

東京をイメージする。

チョコレートに包まれた

アーモンドに歯形が付くと

摩天楼がそびえ立って

遠くに渋滞する

タクシーの列を思い出す。

そんな風景を横目にしながら

紙コップのコーヒーで

口の中に残った

チョコレートを

溶かしてしまいたくなる。

残ったアーモンドのかけらは

依然、東京なのだ。

粉々になった

アーモンドを飲み込むと

東京もいなくなった。

アーモンドをかじった断面

今では見ることもなくなった。

京都の住みにくさと住みやすさ

其れに気付いたせいだろうか。

京都って、

田舎だと知らなかった

京都って、

摩天楼は顔を出さない。

京都タワーを眺めていると

それでも京都が好きだと思った。

この街が好きだと思った。

アーモンドはどこへ行ったのだろう。