果実のなる木
果実が落ちた
見上げていた
果実が落ちた
見上げるほどの
高い木は
雲の上
見上げるほどの
遠い雲
青い空に溶けてった
それでもやっぱり
果実が落ちた
拾って
上着で拭ってみると
酸味のきいた赤い香り
食べるのがもったいなくて
もいちど、空へ投げ返した
一羽の鳥が
どこかへ運んでいった
いつか
もいちど
あの果実は
落ちてくるのかな
そしたら
今度は
かじってみよう
忘れ去られた
父の日に
自分へのプレゼント