桜色の断末魔
桜爛漫、咲き誇る
見上げるほどに
春は木々と戯れている
意識が冬眠から目覚め
戯れは花の色を
色濃く染める
風に誘われて
ふわりふわりと
おどけながら
終わりへと近づいてゆく
花びらの行方をたどると
川の水面で小舟に変わる
散り去ってさえも
場面を変えて
彩りを与える
咲き誇れど
散り去れど
桜の花は
移りゆく魔力が宿り
生命力を呼び起こす
断末魔
哲学の道
西田幾多郎も
桜の断末魔を
目にしたのだろうか
西田哲学の底髄に見え隠れする
生命への畏敬は
桜の花びらの小舟に乗って
今も流れ続けている