波に預けた

小さな波が

足元をくすぐって

気恥ずかしさが

泳いでいた

小さな波は

少しずつ大きくなって

倒れそうなくらいだった

そのまま足を

さらわれそうになり

海辺から

遠ざかろうとしてみた

ふと

波が恋しくなった

小さな波と大きな波

身体ごと

海に引き込まれた

恋心が

波に消えたのだろうか

それとも

恋心が

波に成就されたのだろうか

わからないが

潮の香りに

心は満たされていた

そのうち

何もかも

波に消えていった

波に

いのちをあずけた