渡月橋

できることなら

あの頃に

戻ってほしいと

想っていた

 

しとしと雨

相合い傘で

とぼとぼと

ひとけの少ない

遊歩道

 

桂川の穏やかな流れ

 

川上を眺めれば

緑の低い山々

川の所々に顔を見せる

岩肌が美しい過去

 

川下へ振り向くと

ゆったりと

流れ去る未来

 

過去と未来の接点で

微笑んでいた

ひとけの少ない

橋の上

 

渡り終わっても

とりわけ

行きたい場所もなく

もう一度

振り返って戻り橋

 

過去と未来の接点で

微笑んでいるだけの

相合い傘の取っ手が

暖かかった