火の発見が人間にくれたもの

五山の送り火に

何を思うだろう

何を思い出すだろう

子供の頃は大文字

金閣寺のすぐそばから

眺めていた

病院に勤務している時には

屋上に登れば

ぐるりとあれもこれも

見渡すことができた

今は母のマンションから

鳥居が見える

だけどローカルテレビの

送り火特集を涼しい部屋で

酒を飲みながら眺めている

花火大会もyou Tubeで

部屋の中で見ることができる

思うに、装飾された火を眺めると

何だか神秘的な安堵感と

遠い日のノスタルジーを

感じるのだろうか

いや、装飾されていなくても

火を見ることが

我々の安らぎに

大なり小なり

感傷を与えているのかもしれない

季節とは無関係に

炎の揺らぎは

私たちの心を慰めてくれる

きっと、いつも、特に

太陽が沈んだ暗闇で

人は灯火の揺らぎと共に

安らいで生きている