真理の諸相
科学における真理とは
再現性が担保されるものということ
専門家であれば
一定の手順を踏めば
そこに必ずたどり着けるもの
それが科学の真理といえよう
・
詩における真理があるのなら
再現性が担保されないもの
自己以外の誰であれ
一定の手順を踏んでさえ
一字一句同じ詩を
表現することは出来ない
そもそも一定の手順すら存在しない
・
科学は積み上げられた頑強な摩天楼
詩はときに風に舞う花びらであり
ときに歩道で踏みにじられて
気づかれることすらない落ち葉
・
わたくしにとって
そのどちらも
自身の興味が引き込まれる
魅力に満ちた大切な領域
・
科学では
それまで真理と考えられていたことが
新しい発見によって
真理ではなかったということが起こり得る
・
詩は
真理のようなものは
いくつも浮遊していて
どれが真理なのか分からない
・
降ってきた言葉を
文字に置き換えられた産物
あるいは
文字に置き換えずに
忘却の彼方へ旅をする
社会性を持たぬ幽体
それであってさえ
わたくしにとっては詩の一部だ
・
科学の真理は白か黒
詩の中に真理があるとするならば
無限の色彩スペクトルを放ち
人によって色彩が違って見える
あるいは色さえないのかもしれない
・
詩は得体の知れない雰囲気そのものである