眠れぬ夜
汗をかいている
目を閉じてみる
得体の知れない暗黙が
まぶたを持ち上げる
枕元の薄ら明かりを
ぼんやりにらむ
本を開いて
文字を眺める
硬直も弛緩もしない身体をおこして
のどの渇きを潤す
ベッドに戻る
目を閉じる
寝返って膝を曲げてみる
得体の知れない焦燥が
まぶたに息を吹きかける
目覚まし時計の秒針を
ながめる
あと二時間
新聞配達人のバイクが
ブレーキ音を繰り返す
空が明らみを始めると
得体の知れない虚脱感が
夜を引き連れて
立ち去っていく
これまでに
こんな眠れぬ夜を
何度経験しただろう