福味

何もいいことがなかった場所

何もいい思い出がないところ

そんな場所へもう一度行きたいと

考えることがあるだろうか

何ら分かり合える感情がなかった人

何ら心の成長に感謝を感じない人

そんな人間にもう一度会いたいと

思うことがあるだろうか

場所や人のせいにしてはいけない

それはわかっている

遠き良き時代があったなら

サウダージを噛み締めるのは

深い特別な感情が湧き出る瞬間が

訪れる時

きっと、

1秒前の出来事であっても同じこと

思い出してもう一度

自分の目で確かめに行きたいと

軽い足取りで向かう気持ち

思い出してもう一度

自分の心を確かめてみたいと

握手して抱きしめ合う気持ち

共鳴や共感が残されて

消えることのない共生感覚

それらのない場所や人は

自分の人生とは切り離しても

何ら問題のない独立事象

足を運ぶことも

わかり合おうと思い直すことも

在りはしないだろう

場所や人のせいにしてはいけない

それはわかっている

誰かや、何かに、

責任を負わせるのではなく

自分の人生は、独立事象

自分の肌感覚に合う

ごく限られた共生感覚のある

場所や人と生きること

その限られたコミュニティの

中に暮らし

他のコミュニティと

嫉妬や優劣を考えて

比較したりすることを放棄すれば

感情の地震は起こらないだろう

戦争をして

勝っただの負けただの

コミュニティを大きくするだけの

愚かしい縄張り競争も

必要ないだろうに

自分の肌感覚に合う

ごく限られた共生感覚のある

場所や人と生き

その限られたコミュニティの

中に暮らしていることの

ふくあじを味わっていたい