精霊の大木

もともと精霊の大木は

地の守り神として

崇められ尊ばれて

その地に住む人々皆に

大切にされていた

ところが自動車やバスが

通りやすいようにと

回りをアスファルトで固められ

新しい道が作られた

幸い、切られることはなく

その姿は残されたが

交差点の半分ほどに存在するため

いかにも不自然な様相で

不自由さ極まりない

精霊は怒りを抑え微動だにせず

大きく構えている

そばを通らせていただいている

感謝と申し訳なさを感じている人は

どのくらいいるだろう

精霊の大木が怒りをあらわにする

その時が来ないことを祈り

通り過ぎる度に

一礼して感謝と申し訳なさをお伝えする

誰がそう決めたのかは知らないが

精霊の大木はきっと怒っている

耐え忍んで

窮屈な扱いにもかかわらず

その土地の守り神として

君臨し続けている