色のない風

色のない風が吹いた

少し乾いた風な気がした

だから少し気になった

深夜特急の車窓から

眺めていると

暗くて見えない景色に

色のない風が

吹いている気がした

色のない風は

野焼きの後に残された

無機質な灰をさらって

どこかへ運んで行こうとしていた

もうしばらく

吹き抜けてゆくまでは

気に留めて

そっと見守っていてあげよう