街並みのアクセサリー

チンドン屋さん

今じゃ見かけなくなったけれど

幼い頃、よく見かけたものだ

リズミカルな音を鳴らし

時代劇に出てくる格好をして

小さな行列が進んでゆく

ロバのパン屋さん

車の後ろにパンを積んで

大きな音を立ててやってくる

「・・・ロバのおじさんちんからりん

ちんからりんとやって来る・・・」

音が聞こえると小銭を握りしめて

飛んでった

なぜだかいつも

きな粉のついたみたらし団子を

一本買った

今となっては

あまり、あるいはほとんど

売りに来る姿を

見かけなくなった

ポン菓子屋さん

石焼きいも屋さん

夜なき蕎麦屋さん

おとふ屋さん

野菜屋さん

竿竹屋さん

サンドイッチマン

今ならインターネットがあるから

ネットから頼めば

出前館とかUber Eatsで

特定の個人に運ばれる

昔は物を運んで

不特定の客を相手にして

どれくらいの売れ上げが

あるかどうかもわからず

移動式の行商を

せざるを得なかった

日常の中に当たり前にあることが

いつの間にか消えてしまう

それが時代の流れ

今だって、目の前にある

当たり前のことが

いつの間にか消えるだろう

時代が流れる

時代はその時々を生き

時代は生まれ変わる

年齢を重ねるとは

時代を実感すること

変化を恐れずに

変化に不平不満を言わず

変化を受け入れる

年齢を重ねるとは

変化を享受すること

街並みのアクセサリーは

飽きることがない