観念の色彩
色褪せた夢の中にいた
そこには風塵が横向きに流れ
痩せこけた人間の形骸が
あちらにもこちらにも
散らばっていた
そこで形骸たちと
酒を酌み交わし
厭世の苦悩を
錆びたナイフで突き刺した
紫色の雷鳴が轟き
風塵は止んだ
痩せこけた人間の形骸は
程なく土に帰り
酒の相手がいなくなった
手元に転がっていた
細長いペットボトルの水を
一気に飲み干した
色褪せた夢は
色褪せたままだったが
そこには細やかな蝋燭が立ち
ポケットに残っていたマッチで
火をつけた
蝋燭だけが赤く染まっていた
黒いはずの蝋燭の影法師まで
赤く染まっていた