言葉じり
とても疲れていて
相手の話を聞く余裕もないとき
話の内容は頭の中を通過しない
言葉じりだけが
かろうじて脳に引っかかる
言葉じり
ね、と、よ、で大きく違う
ね、って自分から離れた客体を
眺めるときに用いる、末尾語
よ、って受容していることを
相手に伝えるときに用いる、末尾語
いいですね
それは、逃げ口上や
見せかけの共感かもしれない
いいですよ
それは、かたくなに受け止める
語り口上
いいですね、は他人事
いいですよ、は他人事ではないという事
ね、と、よ、の使い方を知らないと
信頼関係を保てなくなる
いいですね
大変でしたね
お疲れですね
品は良くても
言葉の上では、他人事
いいですよ
大変ですよ
お疲れですよ
それはおなじ土俵の上で
生きているときに使う言葉
言葉じりが
相手の心理に
不信感を与えることがある
言葉じりが
相手の感情に
安堵を与えることがある
「考える人」にとっては
言葉は、難しい
そんなこと言っていたら
何も話せなくなると
考える凡人とは
話したくはならない
言葉じりは
言葉を大切に
生きている人にとっては
繊細で大切なものだ
言葉の操り方を知らない人に
裏技を教えてあげよう
ね、や、よ、の
使い方の分からないときには
よね、をつかえば
当たり障りのない言葉じりに
化ける
「だよねー」
極端な話これがそれだ
相手を遠ざけて
仲間はずれにすることもなく
かといって
本気で共感している
わけでもない
言葉じり