錯覚の好機
朝起きて
カーテンを開くと
空は雲で満たされ
隣の瓦葺きの屋根が
光の反射で白く見え
ベランダの足元も
白く映えていたので
雪が積もっているのかと
錯覚した
目覚めから
まともな思考が
出来るようになると
曇っているだけだった
空は曇り
屋根は空模様をリフレインし
ベランダはエアコンの室外機が
音を奏でた
ぼんやりとした意識の中で
降雪を想うほうが
どれほどか素敵だろう
「こんな休息があっていい」
そう独り言を言ったまま
窓を閉めた