鏡の前のマーメード
自分の状況から
逃れられず
ペルソナを外して
深い嘆きを確かめるX
鱗のついた
身なりの定めを
頬の涙で光らせる
気づかぬうちに
鏡の中には
もう一人
あらわれていた
ペルソナを外す勇気
涙で濡れ輝く鱗
ありのままを
受け入れて微笑む
YはXの手に触れ
涙をハンケチで
撫でていた
鱗は朽ち果てることなく
輝きに満ち満ちた
Xの負い目は決して
負い目ではなく
それをよきものと
認めるものがいるときに
宝石になる
XはYによって存在し
YはXによって存在する
足元を灯す光があれば
転ばなくて済む
互いに。
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