雨に唄えば
下見て歩くな
上見て歩け
幼い頃のわたくしには
ちょっとした
パラドックスだった
普通なら
上見て歩くな
下見て歩け
それは
そう言った人が
間違っていると
教えられた
上見て歩くと
石につまずいて
こけてケガする
そんなふうに反論した
一括して笑われた
そんな生き方に
魅力があるか
こけてケガすることを
恐れているようでは
心の大きな人間には
なれない
守りの生きざまは
嘆かわしい
ケガしたところで
しばらく我慢すれば
直ってしまう
前を見て
後ろを見て
上を見ろ
いろんな景色が目に
飛び込んでくる
それは自分が
世界に飛び込んでいくのと
同じ事
上を見て
積極的に進みなさい
なにも偉くなりなさいと
言っているわけではない
心の広い人間は
心の温かい人間は
上を向いて歩くもんだ
わたくしは
常識にとらわれず
パラドックスの中に
真理を発見する
覚悟のようなものを
数え切れないくらいに
教えられて育った