雨音
夕暮れに
雨音の便りを受け取った
感覚のない無香料な文面に
五線紙が描かれていた
どんなにながめても
音符は見えてこないのに
雨音は聞こえている
通り過ぎていく音
落葉のうえで立ち止まる音
青葉を探して
疲れてしまった奏
ミスタッチのない
ピアノを弾くような
リズムを懐古し
ひらひらと舞う
雪の華を愛おしむ
嘆きでもなく
歓喜でもない
ただひたすらの雨音
思いついて
降り止まぬ雨の中に
五線紙をかざし
雨音に自由を与えた
見えない音符が
音楽を創り始めた